CONCEPT LABO

コンセプトをやさしく分解するコンセプトラボ

コンセプトの作法(2)歴史:マーケティングから

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コンセプトにも歴史がある。

私たちが今使っているコンセプトという言葉が、いつごろから使われ出したのかは
はっきり分からない。どこのサイトにもはっきりと記述されていないので
そんなに重要なことではないのだろう。

ただ多くの人が口にする戦後のアメリカのマーケティングの
日本移植とともに始まったという解釈はそんなに誤差がないような気がする。
日本の時代背景との関連を知る上でも興味深いと思うので
長い呪文のようにならないようにキーワード要約する。

  • 「マーケティング*1移植」戦後、企業経営全体の立場からのマーケティングが米国から導入され、日本の移植される。*2
  • 「和訳できない外来語」1960年〜70年代。マーケティング用語であったコンセプトが日本で使われ始める。日本語化できないのでそのまま外来語化して独自の広告や販促計画で使われた可能性。*3
  • 「CIブームで企業コンセプトが定着」1970年代〜90年代のCIブームで企業理念の表現として「企業コンセプト」が使われ社会浸透した可能性。
  • 気まぐれコンセプトで大衆化」1981年からビッグコミック』で掲載されている「気まぐれコンセプト」のヒットで一気に大衆化した可能性。*4
  • 「バブル期に行政も使用」1990年代のバブル期の施設建設期に事業計画書などで地方の市町村なども公文書で使い出した可能性。

 

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    CI(Corporate Identity)

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「きまぐれコンセプト(小学館)」

  

業界用語として定着。曖昧さと特化として進化。

同じ時期からの広告業界用語の「ディレクション」「プロデュース」などと共に
こうやってコンセプトは日本語化したわけだが、その過程で

『日本語でコンセプトの語を用いる場合は、「全体を貫く基本的な概念」を表すことが多いようです。 例えば「今度開店するレストランのコンセプトは“近未来”でいこう」と言った場合、レストランの店名・内外装・メニュー・広告などに、近未来的な演出を施そうという意味になります。 企画立案が関わるすべての分野で、広くこの語が用いられています。([三省堂辞書サイト]10分でわかる「コンセプト」)

という解釈が一般化していく。意味としてより使い方のほうがが重視され、日本人が好きな提案のムードを表す業界用語として定着していったわけだ。それがコンセプトの意味がいつまでも曖昧なことの原因なのかも知れない。また2000年になってからのブランディングブームでは「商品コンセプト」として特化し、メディアやビジネス書にも大量に露出していった。

私たちがコンセプトという言葉を使う時、曖昧になってしまう理由は他にもある。意味としての類語が多いことだ。これは今でも多くの人を悩ませ続けている。
「理念」「戦略」「目的」「テーマ」「狙い」「ポリシー」これらはそのままコンセプトという言葉に置き換えても話しは成立する。また個人でも「自分の生き方」を「自分のコンセプト」としても表現することができる。便利な言葉になってしまったがゆえに、コンセプトのコンセプト自体が曖昧になっているもかも知れない。(m)