CONCEPT LABO

コンセプトをやさしく分解するコンセプトラボ

コンセプトの作法(4)企画とコンセプト

企画からコンセプトを捉え直す。しかし企画自体もよくわからない。

ここまではコンセプトの基礎知識のようなものです。ただしコンセプターごとにそのまとめ方は違います。そこは注意点です。ここから先は企画という鉄板の枠組みの中で説明していきます。

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コンセプトは人間の大切な知的活動で、アートから歯ブラシ、WEBサービス至るまで人間社会の様々なものに対する「自分から他者へ向けた独自の価値の提示と共有活動」であり、そこには様々な考え方と手法があることを今まで書いてきましたが、
もし私たちがアーティストや作家ではなく、ビジネスに関わっているものであれば、仕事という領域にフォーカスすることで、もっとわかりやすくするとができます。

鍵となるには「企画」。しかしこの「企画」もかなり多面的で、使う人の環境やルールでその世界観は少し変わってきます。


企画の本質は問題解決手法。呼び名は自由に。

「企画」には定義や考え方がたくさんあります。どれを選ぶかはそれぞれの自由だし、本質となる「問題解決手法」であることさえ理解していればいいでしょう。企画のことをもっと知りたければWEBの森から学んでください。

私の好きな語源ストーリーがあります。中国の原野を行く人が、危険な前を見通すために踵を挙げて様子を伺い、先へ進んでいいか考え(=企て)、逃げ道や戦いの手順を決める(計画する)という話。「踵を挙げて先を伺う」そこに企画の本質的な意味があるような気がするしTree worldの諸葛孔明的なビジュアルも思い浮かぶのが気に入ってます。

その企画に携わっていく時に、多くの人が間違え混乱することがあります。企画と企画書は異なるという点です。その他にも混乱しやすいことが多いので関連する言葉を整理しておきます。

<企画の類語>
企画・プランニング・プラン・設計・計画 ・提案・スキーム・フレーム・プロポーザル・立案 ・デザイン・構想・アイデア・開発・フレーム・企画書・コンセプト


日本語の曖昧さもあり、厳格な使用ルールもないので、企画を含めた上のワードは仕事の現場でランダム、そして慣用的に使われているはずです。つまり個人の感覚や業種、職場の専門用語環境でどれを選ぶかは異なってきます。私は20年間、企画は「プランニング」企画書は「プロポーザル」を使ってきました。

 


きれいな企画書でも中身がなければゴミ箱行きに。企画は考えること。プレゼン(企画書)はそのアウトプット。

どんな言葉にしろ企画の本質は「問題解決手法」です。そして重要なポイントは企画(考える)ということと企画書はイコールではありません。当然企画のスキルと企画書のスキルも違ってきます。

 

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私はあまりに多くの人がWEB検索で見つけたデータを満載したスタイリッシュなPowerpointの企画書と、プレゼンテーションスキルに偏り過ぎていると感じています。もちろんプロフェッショナルの場合は違いますが。私がこのブログを始めるきっかけもそこにあります。たとえ少数でもインターンで来る学生たちに、私は企画やコンセプトの本質を理解させたいと考えています。

よくプレゼンの話しの引き合い出る人物がいます。スティーブ・ジョブスKeynoteで作成した画面を背景に独なスタイルでプレゼンするジョブスの話は50代から学生までが好きな話です。

確かにジョブスは誰もが簡単美しいプレゼンができるシステムそのものを開発し、プレゼンのカリスマになりましたが、言うまでもなく世界を大きく変えたのはそのプレゼンではなく「iMac」や「iPhone」などの洗練された商品コンセプトです。

決して難しい話ではなく、企画とプレゼン(企画書)を混同しないことです。いい企画であればゴミ箱に直行することはなく、しばらくは相手の机の上に、またはマークのついたファイルとして、また心の中に残ることができます。


そしてそのためには企画のメソッドを少し説明する必要があります。
私の事務所では8つのステップで企画を構造化しています。

<企画の8つのステップ>
フレームワーク」「リサーチ」「仮説」「コンセプション」「アイディエーション」「クリエーション」「アウトプット」「プレゼンテーション」

続きは「企画の8つのステップ」にまとめます。

Evernoteの検索ができない。クリーンアップ後の再インストールで元にもどる。

検索ができないEvernoteは意味がない

コンセプトづくりにかかせないが、最近調子が悪かったEvernoteの検索機能のぐずり方がひどくなる。よく使うクライアント名どころか「アイデア」などの多用語も「ヒット0」全然ヒットしない。しかもできないワードの脈絡も分からない。つまり私のように入れっぱなしの「ゴミ屋敷型」のユーザーの場合、まったく役にたたなくなる。どんなにひどい「ゴミ屋敷」でも検索ひとつでスマートに使える。それがEvernoteの価値だったのだから。アプリのパスワードも分からない(探せない)事態は予想以上にひどい経験だった。

 

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サポートのチケットを発行して再インストール。

しょうがないのでプレミアムユーザー用のフォームからチケットを発行してもらう。週末にもかかわらず意外と早く返事が来た。「アプリの不具合の可能性がありますので、下記の操作でEvernote for Macの再インストールをお試しいただけますでしょうか。」

書かれていた手順でMac OS用アプリと指定された関連アプリを削除して、Macを再起動、そして再インストール(今回は直接ではなくAppストア版で)。その後Evernoteはスマートな「ゴミ屋敷」に戻った。

 

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サポートメールの手順抜粋

困っていた時に同じ事例を探したがほとんどのっていなかったので、同じトラブルに見舞われた「ゴミ屋敷型」ユーザーは大変だろう。私は自分のためもありEvernoteのメール指示された手順を書き留めておくことにした。
ローカルのみのノートブックや未同期のノートがある場合は、再インストールを行う前に該当ノートをエクスポートする必要があるが、その部分は割愛。

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Evernote再インストール方法】
1) Evernoteを起動
2) メニューバーの「Evernote」>「Evernoteについて」 をクリック
3) Optionキーを押下している間だけ、「データベースフォルダを開く」の項目が表示されますので、Optionキーを押しながらこちらの「データベースフォルダを開く」をクリック
4) メニューバーの「Evernote」>「Evernoteを終了」をクリックし、Evernoteクライアントを終了します
※アプリケーション起動不全等で上記1~4の手順でフォルダが開けない場合は、下記フォルダ領域にアクセスしてください
<弊社Webサイトから直接ダウンロードされていた場合>
Finderのメニューバー 「移動」>Optionキーを押しながら「ライブラリ」>Application Support>com.evernote.Evernote>accounts>www.evernote.com
<AppStoreからダウンロードされていた場合>
Finderのメニューバー 「移動」>Optionキーを押しながら「ライブラリ」>Containers>
com.evernote.Evernote>Data>Library>Application Support>com.evernote.Evernote>accounts>www.evernote.com

5) Evernote Helper(メニューバーの象アイコン)を終了します。
6) 手順#3で開いたデータベースフォルダ「www.evernote.com」を 別の場所(デスクトップなど)へ移動してください。
7) 下記ファイル・フォルダを削除します。
※ご利用の環境によってはシステム内に下記ファイル・フォルダが存在しない場合がございます。
※ご利用のMac OS Xのバージョンによっては下記「Library」フォルダがデフォルトで不可視となっている場合がございます。
その場合、Finderのメニューにある「移動」をオプションキーを押しながら選択して頂くことによって「移動」メニュー内に「ライブラリ」が表示されます。
/Users/[USERNAME]/Library/Application Support/Evernote
/Users/[USERNAME]/Library/Application Support/com.evernote.Evernote
/Users/[USERNAME]/Library/Caches/com.evernote.Evernote
/Users/[USERNAME]/Library/Caches/com.evernote.edam.usage
/Users/[USERNAME]/Library/CoreData/com.evernote.Evernote
/Users/[USERNAME]/Library/Saved Application State/com.evernote.Evernote.savedState
/Users/[USERNAME]/Library/Containers/com.evernote.Evernote/

8) /Users/[USERNAME]/Library/Preferences/ 内の下記のファイルを削除します。
com.evernote.Evernote.plist
com.evernote.Evernote.plist.lockfile
com.evernote.EvernoteHelper.plist
com.evernote.EvernoteHelper.plist.lockfile

9) アプリケーションフォルダからEvernoteを削除します。
10) "システム環境設定>ユーザーとグループ>ログイン項目"内のEvernote Helperを削除します。
11) MacOSを再起動します。
12) 再起動後にMacからApp Storeアプリを起動し、検索欄に「Evernote」と入力してEvernoteアプリを検索してください。
13) ダウンロード用のページが開かれましたら、ダウンロードとインストールを行ってください。

もしくは
12) 再起動後に弊社WebサイトよりEvernoteをダウンロードし、再度インストールしてください

【再インストール終了・ノートデータのダウンロード終了後】
エクスポートしたノートがある場合は、上記手順完了後に画面上部のメニューバーの「ファイル」>「ノートをインポート」でインポートしてください。
また再インストール手順の手順6でデスクトップ等に移動されました過去のデータベースのバックアップファイルは、万が一データベースの再構築処理中に問題が発生した際に備えてのものでございます。上記手順が終了して問題が改善されましたら数日ほどご利用状況の様子を見ていただきまして、ご利用に支障がない旨を確認されましたら破棄されましても問題ございません。

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コンセプトの作法(3)分解:部品とチューニング

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7つの"コンセプト部品"でギターのようにチューニングする。

会議で「コンセプト」を発表した後、相手の目が輝くより前に「どういう意味?」と返される時、あー失敗したなと感じる。説明が必要なコンセプトは意味が無い。そんな時は慌てて"部品"を確認することになる。
多少の強弱はあるがコンセプトを会社やクライアントへの「他者への働きかけ」マシンとして分解してみると私の事務所の場合は7つの部品になる。この部品の組み合わせで事業計画から商品開発、表現までのコンセプトを20年間、なんとか組み立ててきたことになる。

  1. Idea of the Self 「自分のアイデアの"宣言"」
  2. Framing「働きかける"対象とフレーム#」
  3. Understand「他者に瞬時に理解させる"言葉"」
  4. Share他者と共有できる"価値"」
  5. Originalcreative「人から人へ自然に波及していく"独創性"」
  6. Starting point「常に立ち戻れる"原点(本質)」
  7. Language「相手が理解できる言語としての"アウトプット"」

 積み木のように組み立てるというより、実際はギターや電波のチューニングに近い。
コンセプトアイデアや展開イメージなどを目的とする状態に調整するイメージだ。

チューニングは案件で異なる。テンプレートやショートカットはない。

私の事務所の場合にはこの7つの部品があるだけで、
そこから先には特別なメソッドやシステムはない。案件ごとに背景や環境が異なれば、
行き着くコンセプトの姿もルートも異なるわけで、
いちいちテンプレートで考えるほうが面倒なのがその理由。
案件ごとに見えてくるルートに従って、強めたり弱めたりチューニングするしかない。

もちろん信頼できるメンバーとブレストしたり、フローを書いたり、
アウトラインプロセッサを使ったり発想法を変えたりはするが、
決してテンプレートやショートカット的な発想をすることはない。
もし他人のコンセプトを流用するなら、プレゼンの最中に真っ白になっても
何も説明できないことを覚悟しておくしかない。

コンセプター、プランナー、コンサルタント、建築家など
コンセプトをプロ的に発想している人たちはスタイルにこそ違いはあれ
最終的にはみんな同じ「手作業の知性」で進めているはずだ。

 

自分の中の「手作業の知性=Bricolage

「手作業の知性」は抽象的なものではなく、本やWEB上に漂よっているコンセプトワードや人々の無意識の反応、まだとらわれていない感覚を読み抜いて自分の頭のなかのコンセプトボードの上にコラージュできるスキルだと思う。
同じようなことを文化人類学者のレヴィ・ストロースが「プリコラージュ」として定義している。「Bricolage」は理論や設計図に基づいて物を作る「エンジニアリング」とは対照的な概念で、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ることを意味している。

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コンセプトは人間本来の思考と言語能力のひとつ。でもそれは「手作業の知性」でしかもたらされない。コンセプトを手がけるなら、効率化より自分の「手作業の知性」能力の回路を開けるかどうかに注意をはらったほうがいい場合もある。(puck)

コンセプトの作法(2)歴史:マーケティングから

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コンセプトにも歴史がある。

私たちが今使っているコンセプトという言葉が、いつごろから使われ出したのかは
はっきり分からない。どこのサイトにもはっきりと記述されていないので
そんなに重要なことではないのだろう。

ただ多くの人が口にする戦後のアメリカのマーケティングの
日本移植とともに始まったという解釈はそんなに誤差がないような気がする。
日本の時代背景との関連を知る上でも興味深いと思うので
長い呪文のようにならないようにキーワード要約する。

  • 「マーケティング*1移植」戦後、企業経営全体の立場からのマーケティングが米国から導入され、日本の移植される。*2
  • 「和訳できない外来語」1960年〜70年代。マーケティング用語であったコンセプトが日本で使われ始める。日本語化できないのでそのまま外来語化して独自の広告や販促計画で使われた可能性。*3
  • 「CIブームで企業コンセプトが定着」1970年代〜90年代のCIブームで企業理念の表現として「企業コンセプト」が使われ社会浸透した可能性。
  • 気まぐれコンセプトで大衆化」1981年からビッグコミック』で掲載されている「気まぐれコンセプト」のヒットで一気に大衆化した可能性。*4
  • 「バブル期に行政も使用」1990年代のバブル期の施設建設期に事業計画書などで地方の市町村なども公文書で使い出した可能性。

 

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    CI(Corporate Identity)

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「きまぐれコンセプト(小学館)」

  

業界用語として定着。曖昧さと特化として進化。

同じ時期からの広告業界用語の「ディレクション」「プロデュース」などと共に
こうやってコンセプトは日本語化したわけだが、その過程で

『日本語でコンセプトの語を用いる場合は、「全体を貫く基本的な概念」を表すことが多いようです。 例えば「今度開店するレストランのコンセプトは“近未来”でいこう」と言った場合、レストランの店名・内外装・メニュー・広告などに、近未来的な演出を施そうという意味になります。 企画立案が関わるすべての分野で、広くこの語が用いられています。([三省堂辞書サイト]10分でわかる「コンセプト」)

という解釈が一般化していく。意味としてより使い方のほうがが重視され、日本人が好きな提案のムードを表す業界用語として定着していったわけだ。それがコンセプトの意味がいつまでも曖昧なことの原因なのかも知れない。また2000年になってからのブランディングブームでは「商品コンセプト」として特化し、メディアやビジネス書にも大量に露出していった。

私たちがコンセプトという言葉を使う時、曖昧になってしまう理由は他にもある。意味としての類語が多いことだ。これは今でも多くの人を悩ませ続けている。
「理念」「戦略」「目的」「テーマ」「狙い」「ポリシー」これらはそのままコンセプトという言葉に置き換えても話しは成立する。また個人でも「自分の生き方」を「自分のコンセプト」としても表現することができる。便利な言葉になってしまったがゆえに、コンセプトのコンセプト自体が曖昧になっているもかも知れない。(m)

コンセプトの作法(1)意味:価値を「受胎」する

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もしコンセプトがなかったら

もしコンセプトがなかったらiMaciPhoneもなかっただろう。
いつもいくモダン和風のお気に入りの店もなかっただろう。
フリクションペンもなかったし、音楽も映画も、面白いコマーシャルもアニメも、
コンセプトなしには今ほど面白いものにはなっていなかっただろう。

どんな天才でもアイデアが自分の中にある限りは、いつまでたっても妄想のままだ。
誰かにその価値を伝え、短時間でその価値や基準を理解・共有させて
「さぁ新しモノを創ろう!」とキックオフしない限りは、
人が驚くようなものは生まれない。コンセプトの力はそこにある。

コンセプトの意味は常に多面的

九州でコンセプターという仕事柄、コンセプトの説明を求められることが頻繁にある。
「そもそもコンセプトって何ね?」「日本語で言うとなんて言うと?」
様々に質問する人の顔を見ると本当に分からなさそうな顔をしているかことが多い。
そんな時の説明はだいたい3つの表現に分けて説明することにしている。

Level1 「自分のアイデアを他人に瞬時に分からせるための短い言葉」
Level2「様々な分野で自分のアイデア・価値を他人に瞬時に理解・共有
    させる力を持った本質まで削ぎ落とされた言葉の探究と定義」
Level3「個人の妄想が社会的に共有可能な存在としての価値を宿した言葉」

「自分や個人」から、他人に理解・共有させる行為ということや、
言葉であるという部分は変わらないが、理解力は依頼する人により異なるので
表現を少し変えている。それでも最後には「面倒くさい」と言われてしまうのだが。

日本の伝統的な語彙にはないので、外来語としての意味を定義するしかないので
検索で探って見ると「概念」や「商品コンセプト」など多くのワードがヒットする。
コンセプトに関わる人ごとに意味や定義が異なるのもコンセプトの特長のようだ。
私の事務所でのコンセプトの定義も完全でなく、常に更新待ちの暫定の定義だ。
商品なのか家なのか、それとも空間なのか・・コンセプトをどう求めるかで
意味は少しチューニングが変わっていく。

コンセプションのもうひとつの意味「受胎」

特に3番目の説明が実は一番近いと思っているし、私は気に入っている。
意外と知られていないが、コンセプトの類似語である「Conception=コンセプション」は概念という意味の他に「受胎」「妊娠」という意味も持っている。
「価値が宿る」という点ではコンセプト(コンセプション)はビジネスというより、
古代から人間が芸術や科学で新しいことを創造する時に求めてきた
根源的な知的活動という世界観が近い。
数年前ロンドンに行った時、コンセプターという職種が昔からあるのを聞いて驚いた。

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Immaculate Conception(無原罪の御宿り)

コンセプトを必要とする人の固有のテーマや環境で変化するものだからこそ、
商品開発など決められたテーマがない状態では、つかみにくいものかも知れない。
さて、つかみにくい事象にはどう対応したらいいか。分解するしかない。
自分のためにもひとつひとつ分解して、改めて探究していこうと思う。(m)